目標は40分切り、結果は40分56秒
今年の阿蘇山ヒルクライムは、40分を切ることを目標に臨んだ。結果は公式タイムで40分56秒。あと56秒。9月5日の試走より30秒速かったのに、自己ベストにも届かなかった。40分切りは来年に持ち越しだ。
スタート直後。ここから約11kmの登りが始まる(写真:Piufoto)
順位はマスターズ40カテゴリ(MM40)で36位/92人、総合で124位/396人。悔しいのは、ゴールの時点でまだ脚が残っていたことだ。
作戦は「最初の3kmはウォームアップ」
過去のレースでは、序盤に突っ込みすぎて中盤でタレるのがお決まりのパターンだった。今年は8月からAI(Claude)と一緒に過去データを見ながら、試走の結果も踏まえて配分を詰めていった。
最初はFTP230W到達を見込んで、平均225Wで登る計画を立てた。ところが8月中旬、intervals.icuが出した推定FTP(1時間出し続けられるパワーの目安)は203W。盛りすぎなのよ、TrainerRoad…儚い理想より今の実力。平均200W前後で組み直した。
| 区間 | 目標パワー | 心拍の目安 |
|---|---|---|
| 0.0–0.5km(平坦) | 195W・集団内 | — |
| 0.5–3.0km | 199W | 10分で170前後 |
| 3.0–6.0km | 202W | 20分で175前後 |
| 6.0–8.5km(九十九折れ) | 202W | 30分で179以下 |
| 8.5–9.0km(トンネル) | 195W | — |
| 9.0km–ゴール | 213W→全開 | — |
サイコンには阿蘇ヒル専用の画面を作り、1kmごとのラップ平均パワーと10秒平均パワー、心拍を表示した。去年は心拍計をつけ忘れたので、今年は心拍で突っ込みを止める作戦だ。
当日はスタート前の待機が長い。そこで「スタートから3kmまではウォームアップ」と考えることにした。抑えるのではなく、まだ本番が始まっていないだけ。もうひとつの合言葉は、去年ゴール手前で緩めた反省から「フィニッシュラインの少し先まで踏み抜く」。
もうひとつの狙いは、ペースが合いそうな人を見つけて協調して走ることだった。
機材面で去年から変えたのは2点。
- ステム一体型ハンドルを導入(阿蘇ヒル対策というわけではない)
- リヤスプロケットを11-30Tから11-34Tに変更
序盤は守れた、中盤で日和った、ラストは脚が残っていた
まだ余裕のある顔。この余裕を中盤で使うべきだった(写真:Piufoto)
序盤:抑えめに入れた。というより抑えすぎで、1〜2km目は179Wしか出ていない。周りがどんどん前へ行くのを見送りながら、「まだウォームアップ中」と心の中で唱えていた。一方で、一緒に走れそうな人はうまく見つけられなかった。声がけが足りなかったかも。
中盤:ここが今回いちばんの反省点!本来はペースを上げるべき区間だったのに、暑さのせいか、守りに入って上げきれなかった。コーナーが続く区間で心拍が178を超えたとき、「ここで踏んだら最後まで持たない」という声のほうが勝ってしまった。抑えた分を、そのまま持ってゴールしてしまった。
終盤:残り2kmを過ぎてからラストスパート。自分でも驚くほど脚が残っていて、最後はしっかり踏めた。「あれ、まだ踏める」と気づいた瞬間は気分が上がったけど、残り距離を考えたら時すでに遅しだよなーと悔しさが半分ずつ。ゴール後にGarminのタイムを見たら、悔しさのほうが大きくなった。
データで振り返る:計画どおりだったのは最初の1kmだけ
同じコースの3年分を比べると、平均パワーは下がり続けているのに、平均速度は上がり続けている。「序盤で我慢する」って効くんだなあ、と思った。
| 項目 | 2023年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|
| 平均パワー | 200.7W | 194.7W | 193.0W |
| 平均速度 | 16.31km/h | 16.83km/h | 17.08km/h |
ただし今年は、計画した約200Wにも届いていない。1kmごとのラップを計画と並べると、どこで出し惜しみしたかがはっきり見える。
| 区間 | 平均勾配 | 計画 | 実績 | 平均心拍 |
|---|---|---|---|---|
| 0–1km | 2.2% | 195→199W | 199W | 162bpm |
| 1–2km | 4.1% | 199W | 179W | 172bpm |
| 2–3km | 3.6% | 199W | 201W | 174bpm |
| 3–4km | 6.3% | 202W | 191W | 176bpm |
| 4–5km | 6.3% | 202W | 190W | 176bpm |
| 5–6km | 7.4% | 202W | 194W | 179bpm |
| 6–7km | 6.4% | 202W | 182W | 178bpm |
| 7–8km | 6.8% | 202W | 195W | 179bpm |
| 8–9km(トンネル) | 3.3% | 202→195W | 186W | 179bpm |
| 9–10km | 5.8% | 213W | 194W | 180bpm |
| 10–11km | 5.3% | 213W | 208W | 181bpm |
| 11km–ゴール | 4.6% | 全開 | 205W | 185bpm |
計画(線)と実績(点)。オレンジが勝負区間
勝負区間の3〜8kmは、計画の202Wに対して182〜195W。心拍も計画の目安(20分で175前後、30分で179以下)に収まっていて、まだ余裕があった。ラスト300mは平均277Wまで踏めている。
Stravaのセグメント「阿蘇パノラマラインヒルクライムby K F」では40分55秒。自己ベストの40分02秒には53秒届かなかった。
パワーと心拍はGarmin Edge 840で計測し、intervals.icuとStravaで集計した。公式タイムとセグメントのタイムは、計測区間が違うので一致しない。
平均ケイデンス(1分あたりのペダル回転数)は去年の86rpmから89rpmに上がった。11-34Tで軽いギアを使えるようになった影響もありそうだ。
初めて走る人へ:コースの攻略ポイント
距離は約11km、獲得標高は約600m。10%を超える激坂はほぼなく、ヒルクライムの中では走りやすい部類だと思う。
- 序盤:斜度が緩いので、本番の雰囲気につられてオーバーペースになりやすい。ここで我慢できるかが後半を左右する。自分のデータでも、登り始めの区間のパワーが毎年いちばん高く、スタート直後の平坦の勢いを引きずっていた。
- 森林区間を抜けた先:視界が一気に開けて、阿蘇の雄大な景色が広がる。苦しくても、ここだけは顔を上げてほしい。今年は快晴で、一瞬だけ見とれた。
- トンネル手前の直線:まっすぐで斜度もそこそこあり、先が見えるぶん心が折れやすい。あえて視線を近くに落とすと、淡々と進める。
- トンネル内:ほぼ平坦。ただし、ここで脚を緩めすぎると攣ることがある(経験済み)。軽く回し続けておきたい。
レースのあとで
ゴール後、山上でチームメイトと。おそろいのジャージで記念撮影(右端が筆者)
- ゴール後、アスペクタまで戻る途中の登りで、後ろからクルマがゆっくり近づいてきた。前の人たちに声をかけて「どうぞ〜」とハンドサインを出したら、撮影車だった。
これがその「どうぞ〜」の瞬間。撮影車、ちゃんと撮ってた(写真:Piufoto)
- 打ち上げは久木野そば道場で、十割そばの大盛り。えび天も付けた。出し切れなかった分、食欲だけは全開だった。
窓の外は牧草地。十割そば大盛り+えび天
- 大会の公式写真はPiufotoで無料配布されている。ゼッケン認識で自分の写真を探せる。
- レースの車載動画はYouTubeで公開している。
次に向けて:中盤で踏む
ゴール直前。来年はここをもっと苦しい顔で通過したい(写真:Piufoto)
序盤を抑える作戦は効いた。足りなかったのは、中盤で踏む決断だ。3〜8kmを計画どおり202Wで走れていれば、単純計算で1分ほど縮む。56秒は取り返せた。
- 中盤でラップが計画を下回ったら、心拍に余裕があるうちに戻す
- 長く踏み続ける力を、冬のあいだに低強度のロングライドで底上げする
- 序盤のうちに、ペースの合う人へ自分から声をかける
次の阿蘇ヒルまで、あと52週しかない。しかも今年と同じ時期に開催されるとは限らない。そう自分に言い聞かせている。
この記事の英語版(海外から阿蘇ヒルに参加する人向けのコースガイド)はこちら。






コメント
コメントを投稿